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TEEと三本の矢 [TEE]

先週の講演のテーマは「TEEはこういう使い方もできます」みたいな話。
人工心肺の種々のカニューレや,PCPS,IABPの留置をTEEでどのようにサポートするかという内容で話させていただいた。

私は,TEEの術中の役割としては,Diagnosis,Monitoring,そしてRisk Managementの3つの役割があるという話を講演のなかでいつもしている。
いわば「三本の矢」だろうか。

Diagnosis
最近では僧帽弁形成などでのSurgical decision makingや,病変の評価が中心になっているが,私は,術中TEEは麻酔科医が使うのだから,麻酔に役立つ情報を得ることが最も重要だと考えている。
例えば血圧が出ないときに,心機能が悪いせいなのか,hypovolemiaなのか,他の病変のせいなのかわかれば,ずいぶんとmanagementが変わるだろう。

TEEで麻酔に役立つ情報を得るためには,そんなに高度な知識や技術はいらない。
断面で言えば,ガイドラインの20断面のうち,中部食道の四腔断面,二腔断面,長軸断面,右室流入流出路断面,大動脈弁短軸断面,大動脈弁長軸断面,そして経胃中部短軸断面の7断面が出せれば十分ではないか。
問題は得られた情報を麻酔に生かせる力があるかどうかにかかっている。
それはTEEの知識ではなく,病態生理や循環管理,術式の知識である。
TEEから得られた情報を麻酔に生かせれば,もっと前に進める。

Monitoring
はじめのころは重要だと考えていたが,最近ではあまり重きをおいて話さなくなった。
なぜならTEEはMonitoringは苦手だから。
そもそもMonitoringは何もしなくても情報が勝手に入ってくるものだが,TEEでは使う人が何を診るか,何らかの病態を念頭におき,かつ,自分でプローブを動かして必要な断面を出さなければ,必要な情報は得られない。

例えばTEEを虚血のモニターに使えます,みたいな話がある。
しかし,いそがしい術中にTEEの画面をずっとみている訳にもいかない。
TEEで壁運動異常を発見した!なんてこともあるだろうけど,多くの場合は心電図や循環動態が変化して,TEEを診てみたら心筋虚血だった・・・じゃぁ,こうしよう!ってパターンなような気がする。

Risk Management
中心静脈カテーテルのガイドワイヤー,肺動脈カテーテルの挿入,人工心肺の種々のカニューレ,緊急の補助循環導入のサポート。これはTEEでしかできない。
例えば「脱血が悪い」という言葉に耳を貸さない外科医も,下大静脈の脱血管が肝静脈につっこんでいる画像をみれば対処するほかない。

心臓手術は一歩間違えば奈落の底である。
人工心肺に隙があれば患者さんの命が危機にさらされる。
TEEをRisk managementに使えることは,ドプラーや種々の計測ができることより,よほど重要だと思う。患者さんを守るために闘う麻酔科医には,まず最初に身につけてほしい。
上手な施設にいる麻酔科医にも,必要な場面は必ずやってくる。
転ばぬ先の杖。私はそう考えている。


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