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私の手術体験:右橈骨遠位端骨折整復術:その1 [私の手術体験]

1997年8月30日の夕方,スクーターに乗り,北大路通を東に向かっていた。
北大路烏丸を過ぎていたころだったと思う。私は何か考え事をしていた。
今となってはよく覚えていないけれど,自己退院したネフローゼの患者さんのことでも考えていたのかもしれない。ふと気がつくとエスティマが前に信号待ちで止まっており,そして私の原付はその後部に突っ込んでいったのだった。
ブレーキも間に合わず,私は頭から突っ込んだ。
丁度駐車違反の取り締まりで婦警さんがおられたため,すぐに事故の処理が始まった。
ヘルメットをかぶっていたので頭は大丈夫そうだったが,右の手首がぱんぱんに腫れており,動かない。
さすがに,これは骨折しているかもしれないと思った。
「救急車を呼びましょうか?」と婦警さん。
「け,結構です」
私は大破した原付に乗り,片手で操作しながら自分の病院にもどった。

右橈骨遠位端骨折
病院に戻り,師匠が病院におられたので診ていただいた。
目の上が切れていたので縫合してもらった後,手首のレントゲンを撮ってもらう。
「折れてるわ。」いつもは駄洒落のひとつも言う師匠だが,今日は無言である。
それもそのはず,骨折は橈骨の遠位端で,かつ関節面にまで骨折が達していた(赤矢印)のだから。
Barton骨折というやつである。機能的予後は厳しいタイプの骨折だった。

とりあえず,整形外科の先生に連絡をとり診てもらうことになった。最初月曜日に診てもらう予定だったが,その先生のご厚意で日曜日に病院で待ち合わせをして診ていただいた。
やはり橈骨遠位端骨折で,観血的に整復が必要だとのことであった。
内科研修中でもあったので9月1日に入院し9月2日に手術することになった。


ムンテラ
 さっそく9月1日に外科・整形外科病棟に入院した。
入院すると看護婦さんがやってきてバイタルサインを測られたり現病歴などを聞かれた。
こちらも聞かれることはわかっているので,さっさと答えていく。
とにかくバツが悪いことこの上ない。
おまけに血ガスまでとるという。
絶対大丈夫だから動脈血なんて採らなくていいと言い張ったが,結局刺されてしまう。
左の橈骨動脈・・・22Gだったが,とんでもなく痛かった。

さて,例によってムンテラである。
今回は研修先の病院の事務長さんに同席していただいた。
骨折を整復し,転位しないようチタン合金のプレートを留置するとのことだった。
機能的予後や合併症についても詳しく教えてもらった。
麻酔は伝達麻酔か全身麻酔どっちがいいかと聞かれたが,私は術後尿道カテーテルを入れるのがいやだったので,伝達麻酔でしてもらうことにした。

外科医生命の危機!
ムンテラの後ベッドで横になり,今後のことを考えた。
機能的予後は厳しい・・・おそらく元の可動域は維持できないだろう,うまく動いたにしてもいつまで動くかもわからない・・・。10年ももつだろうか・・・。
これで外科医の道はあきらめざるを得ないと思った。
しかし右の手首が動かないとなると,外科医どころか医者としてやっていくのも難しいかもしれない。
医者の仕事は細かい仕事が多いのだ。
改めて直面している事態の重大さ,深刻さを認識した。
師匠が無言になるのも無理はない。
いや何とかなる,などと思ってみても,むなしい強気である。
前回の自然気胸の時はこんな心配は全くしていなかった。あの手術に大きな機能消失は予想されなかったし,多少あったとしても医者生命が終わるというものでもない。
しかし今度は違う。自分の夢が絶たれてしまう可能性が高いのだ。
どうしよう・・・頭の中で無意味な逡巡がつづく。

結局いくら考えてもどうしようもないと思い,考えることをやめ,眠ることにした。


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コメント 2

miykosan

傷病名
左足関節内果骨折
右橈骨遠位端骨折
手術名
関節内骨折観血的手術(足)
骨折観血的手術(前腕)
2008年5月13日に駅ホームから線路に転落事故で1ヶ月半入院していました。
仕事は、美容師です。
致命的でまして、一人で店を切り盛りしていた為、バケツで氷水を限りなくかぶらされた想いでした。
でもリハビリと先生のみごとな手術のお陰で足を引きづりながら、右手は思いのほか自由に使いこなすことが出来ています。
事故は、一瞬で・・・人生は変わってしまうことを思い知らされました。
by miykosan (2008-07-14 01:05) 

nagare-anes

miykosanさん
コメントありがとうございます。

> 事故は、一瞬で・・・人生は変わってしまうこと
> を思い知らされました。

本当にその通りだと思います。
miykosanさんの一日も早い回復をお祈り申し上げます。
by nagare-anes (2008-07-21 00:24) 

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