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私の手術体験:胸腔鏡下肺部分切除術:その1 [私の手術体験]

懐かしい痛み
1996年10月12日。この日は私の大学のオーケストラの定期演奏会だった。かわいがっていた後輩の晴れ姿を見る演奏会の会場に向かっていた。
階段を一段下りようとして足を踏み出した瞬間,左の胸に激痛がはしる。一歩一歩降りるたびに激痛がはしり,それは止まることがなかった。まったく覚えのない痛みではない。
何度も経験している痛みだった。
私は浪人中に一度自然気胸になったことがあった。自然気胸とは原因はよくわからないのだけれど,肺にブラといわれる袋ができ,それが突然破裂することで空気が胸腔内に漏れて,その結果肺がつぶれてしまう病気である。
普通は背の高い,ひょろっとした人がなることが多い。

大学に入ってからは再発もなかったが,1995年の7月に,三条京阪のレール上で原付で転倒したときに,それがきっかけか分からないが再発した。その時は安静にしていたら自然と肺が膨らみ治ってしまった。
そしてその半年後1996年3月に深夜机に向かって勉強していたら,突然の胸痛と呼吸困難が出現。またしても再発した。この時は近くの病院に入院し,胸に太いチューブを挿入され胸の中の空気を抜くことになった。
おまけに再発しにくいように抗生物質をチューブから注入し,肺を取り巻く胸膜を胸壁に癒着させたのだった。

悲愴
この痛み・・・間違いない。自然気胸の再発だと思った。
胸膜が引っ張られるせいなのか,歩くと足から胸まで抜けていくような痛みである。
しかし,せっかく来たのでリハーサルと演奏会を聞くことにした。どうせ,片側だから何とかなるだろうと。
この日のプログラムはメインがチャイコフスキーの「悲愴」。コンサート中は座っていたので痛みは少なかったが,4楽章に入ったあたりだろうか,呼吸が苦しくなってきた。
あの有名な4楽章が流れる中,痛みと呼吸困難に耐える・・・まさに「悲愴」。

家で聴診すると左の呼吸音がほとんど聞こえない。中等度以上の虚脱と診断した。
次の日は病院が日曜日で休みということもあり,一日鎮痛剤でしのぎ,月曜日に前に入院した近くの病院に行った。主治医の先生を呼び,再発した旨告げた。レントゲンをとると,診断通り自然気胸である。左肺が半分ぐらいにつぶれている。即入院となった。今考えると随分無茶をしたものだと思うが・・・。

その頃,私は大学の6回生で国試を半年後に控えていた。次に国試の時に再発しても困るし,就職前に何とかした方が良いと考え,手術を受けることにした。もちろん胸腔鏡でと・・・。とりあえず入院し,チューブを胸に入れてもらい,早く手術の出来る病院を探してもらう。
結局,深泥池のほとりのある病院に紹介されることとなり,10月16日に転院した。

池のほとりで
深泥池のほとりにある病院は,まわりの鄙びた景色に似合わず結構きれいな病院だった。
私はその病院の個室に入室することになった。主治医の先生がやって来て,手術日は10月18日になると教えてくれた。個室なのでトイレ,洗面所付きである。窓からは晩秋の深泥池が広がり,非常に景色も良い。なかなか過ごしやすそうだと思った。

しかしそんなことを言ってられたのは最初だけである。
だいたい私の胸にはすでにトロッカーが一本ささっている。動こうにもチューブが邪魔で動けない。部屋から出てどっか散歩という訳にはいかないのだ。だからベッドの上にいるほかなく,ものすごく暇だったのだけれど,暇を存分に満喫できる状態ではなかった。
その原因は医師国家試験である。半年後には国試がある。その頃の私の勉強のすすみ具合はあまり自慢できるものではなかった。私はベッドの上で国試勉強をすることにした。

いろいろ検査を受けているうちに,ムンテラを受けることになった。
当然,親は手術日にしかこれないので,私一人で先生の話を聞いた。
しかし私は医学部6回生で,しかも入院前の臨床実習で自然気胸の患者さんを担当し,同じ手術について勉強し,胸腔鏡下肺部分切除術を見学したばかりだった。自然気胸とその治療については,一定の知識をもっていたし,何をどうするか細かく知っていた。そんなわけで,術式や合併症の話はものすごく簡単に終わり,麻酔について,どんな薬を使うとか聞いていたような気がする。主治医の先生はとてもやりにくかったとは思うが。


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コメント 2

Tsunetann

あけましておめでとうございます.

う~ん,讃岐先生といい,過去の(讃岐先生はついこの前か!)手術体験をお話するのがブームなのでしょうか?以前,麻酔した気胸の若い男の子が術中覚醒をしていて,手術中にした病気や麻酔の説明を詳しく覚えていたことがありました.プロポフォールが出始めのころでBISもなかったし,,,,といいわけです.

ところで,骨折の後遺症はどうなんでしょう?
まだ,なにか障害があるのでしょうか?
by Tsunetann (2007-01-08 14:15) 

nagare-anes

Tsunetannさま,あけましておめでとうございます
もともとWebの方にアップしていたのを,少し直してblogの方に持ってきた次第です。Webの方は縮小方向なものですから・・・。

骨折の方は,可動域制限はほとんどないんですが,動かすとクリックがします。ちょっと引っかかるような感じがあるんですね。
日常では,麻酔を含めて問題はないのですが。
by nagare-anes (2007-01-08 22:01) 

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